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懐かしの誌面

「Foot Rest」佐々木 圭二さん

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2000年12月23日オープン

■「癒し」を求める時代
 数年前から「癒し」という言葉が使われはじめ、疲れた心を癒してくれるような商品やサービスが注目を集めている。ストレス解消用のヒーリングミュージック、心が和むキャラクターグッズ、心地よい香りで心身ともにリラックスさせるアロマテラピーなど、その種類もさまざまだ。社会や家庭で頑張りすぎている現代人は、誰しも心休まるひとときを求めているのかも知れない。そしてそこには「高価な物」より、「心の豊かさ」を重視する時代の流れが感じられる。
 今回は、そんな時代の流れと呼応し、幅広い年齢層の女性の心を掴んでいるお店が主役。第二の心臓といわれる「足」にこだわり、足元から心と体全体をケアしていく仕事に情熱を傾ける、一人の男性の物語に迫って行こう。

■「足」にこだわるお店
12040108603s.jpg 店内から漂うほのかなアロマオイルの香り、静かに流れる音楽、アジアのリゾート地を思わせる店構え、そしてなぜか看板には「靴の修理」の文字(?!)。西日本最大の規模を誇るイオン高知ショッピングセンター、その中にある「フットレスト」は、靴の修理と、足元からの健康とリラックスを提供するサロンが一つになった珍しいスタイルのお店だ。「開店するときに一番に打ち出したかったのは、足へのこだわりです。靴と足は全然別なものではない。靴屋が真面目に足のことを考えたら、こういうお店ができました、ということなんです」。オーナーの佐々木圭二さんは、穏やかな笑顔でこう語る。
 このお店は、イオン高知の開店と同時にオープン、今年で2年目を迎える。オープン当初から、靴の修理と共に力を注いできた「リフレクソロジー」が、今や首都圏の女性を中心に大ブレイク。高知でも口コミで広がり、店内のサロンは年配の婦人から若い女性、主婦たちで賑わっている。
 リフレクソロジーとは、足裏の反射区を刺激することで、心と体のリラクゼーションを得る健康法のこと。反射区は全身の器官や臓器とつながっており、そこを刺激することで血行や気の流れがスムーズになり、人間が本来持っている自然治癒力を引き出してくれるというものだ。今でこそ広く知られるようになった療法だが、佐々木さんが興味を持ち始めた頃は、まだまだ一般的ではなかったという。

■はじまりは靴屋での体験から
12040108601s.jpg 佐々木さんは元・靴屋の販売員。お客さんの足に合った靴を選び出す「シューフィッター」の資格を持ち、高松の靴屋で10年にわたり働いてきた。「靴屋の業界に入ったのは、靴はみんなが絶対履くものだから、一生食いっぱぐれないだろうという単純な理由なんですよ」と笑う。そんな軽い気持ちで入った業界だったが、売り場での体験が佐々木さんの考えを変えていく。それは、日々さまざまなお客さんの足を見る機会を通じて、足のトラブルを抱えている人が非常に多いという現実だった。「事務職で座りっぱなしの人は、血液が腰でストップして血液がたまる、いわゆるエコノミークラス症候群と同じ症状を訴えたり、立ち仕事の人が足の疲労に悩んでいたり、外反母趾や指の骨が曲がってしまった人など皆さんそれぞれ足に関する悩みを抱えていた。お客さんの口からその悩みを直接聞いているうちに、靴から足へと興味が移っていったんです」。靴屋の売り場に立ち始めてから5年目、このときから佐々木さんの足に関する勉強が始まった。

■リフレクソロジーとの出会い
 根っから勉強熱心な佐々木さんは、早速、「足」に関する本を読みあさり始めた。今ほど情報もなかったので知り合いに聞いたりしながら、台湾式の足つぼマッサージや、足の解剖学の本など、「参考になりそうなものは手当たり次第」目を通した。その中で、足という面積のほんの小さなところに、体全体のバランスが関係している、その奥深さにどんどんはまっていったという。そして出会ったのがリフレクソロジーだった。「始めからそういう療法があると知っていたわけではなく、靴屋に携わりながら自分で勉強していくうちに自然に辿り着いたのがリフレクソロジーだったんです」。
 時を同じくして、以前から独立開業を思い描いてた佐々木さんは、足のサービスを提供する会社をやってみたいと思うようになっていく。「子供の頃、よく父親の足裏を踏んでお小遣いをもらっていたんですよ(笑)。どうして親父はこんなことでお金をくれるんだろうと当時は思っていましたが、実際に自分がやってもらうとすごく気持ちがいい。気持ち良くて、健康になって、みんなが喜んでくれてお金になったら、こんなにいい商売はないと思った。足の不調を訴える人がこれほどまでに多いのだから、需要も絶対にあると」。そう考え、物件を探し始めていた佐々木さんのもとに、知り合いから朗報が届く。西日本で1番大きなショッピングセンターが高知にできるという情報だった

■西日本最大級のSCで出店したい!
12040108602s.jpg イオン高知のオープンから遡ること2年前の平成10年、佐々木さんは1回目のアプローチを試みる。「タウンページで電話番号を調べて、高知での出店計画が真実か確かめました。そして出店の意思を伝えたんですが、そのときは名前と住所を聞かれただけ」。その後1年経ってもなんの進展もなかった。しかし、開業へと気持ちが固まっていた佐々木さんは、本格的な準備を始めるために高松の靴屋を辞めることを決意。10年間のサラリーマン生活に終止符を打った。
 まず、佐々木さんが真っ先に行ったことは東京での技術習得と現場偵察。東京在住でリフレクソロジストの資格を持つ靴屋時代の友人に実技を教わりながら、都内にあるサロン巡りを始めた。約2ヶ月間にわたり、佐々木さんはのべ50件ほどのサロンを自分の足で体験してまわった。「足を揉んでもらいながら、どこがどのように気持ちいいか、必死に覚える努力をしましたね。そして店を出ると同時にメモしたり、気になるお店には5、6回足を運んだり」。このときのサロン巡りを通して、佐々木さんは一層SCの中で出店することの意義を感じはじめる。「路面店でやることも考えてはいたんですが、東京で見たお店は大抵人の流れが多い駅ビルの中にあったこと、自分がお客さんの立場だったら何気なく入れる雰囲気の方がいい。それには西日本で1番大きなSCの中がベストだと思いました」。
 そして待ちに待ったイオングループから連絡が届いたのは、イオン高知がオープンする半年ほど前のこと。しかもそれは希望していた高知店ではなく新居浜での出店募集案内だった。「僕の出身が新居浜なんで、たまたま届いたと思うんですけど、とりあえず説明会に参加しました。そこで、企業の担当者と名刺交換をし、その後、もらった名刺宛てに何度も電話をして、自分が考えいる店のコンセプトをどんどん提案していきました」。しかし初めて会社を立ち上げようという、実績もネームバリューもない1人の男性が、大企業の信用を得ることは容易なことではなかった。電話でのアプローチを続けること3ヶ月、ついに佐々木さんの熱意を買ってくれる人が本社に現れ、高知店での出店が確定。オープンを3ヶ月後に控えた時期のことだった。

■実際オープンして「やってしもうた...」
 その後、猛スピードで内装工事を行い、必要な備品を仕入れ、銀行からの融資を受けて準備を進めていった。そして平成13年12月23日、記憶にも新しいイオン高知のオープンの日、足へのこだわりを掲げた斬新なスタイルのお店が誕生した。しかし、夢が実現した喜びに浸る余裕もなく、佐々木さんを待ち受けていたのは厳しい現実だった。「オープンして半年間は、『うわー、やってしもうた...』と思いましたね。客足がほとんどなく、運転資金は3ヶ月で底をつき、本当に焦りました」。
 フットレストの場合、一見して何屋かわからないことが客足を遠ざけている一つの原因だった。そこで佐々木さんは、靴の修理スペースを店舗の外に移動し、「分かりやすく、入りやすいサロン」づくりへの努力を始めた。病院のように白を基調とし隔離していた施術室は、アジアのリゾート地を思わせる開放的なイメージにチェンジ。できることは何でも自分たちで工夫しながら、店内の模様替えやメニューの検討を行った。ちょうどその頃から、全国的にリフレクソロジーが注目を集めはじめ、佐々木さんがやろうとしていることと時代の流れが一致。次第にお客さんの数が増えていき、しかも、1度訪れた人がリピーターになる確立も高く、経営は軌道に乗っていった。「時代の流れとたまたま合っていたのと同時に、自分が本当に足にこだわっているということがお客さんにも理解されるようになっていったんだと思います。だからこそついて来てくれる」。

■心と体をケアする仕事
 「実際にオープンしてみて、自分の考えとお客さんの要望は比例しないということが分かりました。自分は足の『健康』をメインに考えていたんですが、お客さんは『癒し』を求めにやって来る。そんなお客さんの要望を満たすことも大事です。今では足のトラブル解消とリラクゼーション、どちらも同じように大切にして行かなければと思っています」。佐々木さんが常々スタッフに言っていることは、技術ではなく、お客さんの不調な部分が治りますようにと、気持ちを込めて足を揉むということ。そして、お客さんの話し相手になったり、足元からリラックスしてもらったり、あくまで受け身で対応するということ。ここは治療を行うためだけの病院ではなく、心のケアも大事な仕事の一つだと考えているからだ。「体の不調を訴えていた人から、『良くなった』という言葉が聞けたり、開店当時からずーっと来てくれる人がいることが本当に嬉しいです」。

■常に新しい夢に向かって
12040108604s.jpg オープンから2年、佐々木さんは店を経営する一方で、これまでさまざまなことに挑戦してきた。まず東京の学校に通い「フスフレーゲ」という、ドイツでは国家資格にあたる技術を習得し、タコ・ウオノメの除去や巻き爪矯正など、より高度な施術を行う資格を得た。また、足揉みの気持ち良さを1人でも多くの人に知ってもらいたいと、リフレクソロジーの実技と理論を教えるスクールを開設。そして今ある新たな目標が、違う分野の専門家たちと協力し、お互いの知識を生かし合った健康を提案していくことだ。その具体的な試みの一つとして、現在、オーダーメイドで一人一人の体に合ったその人好みの靴を作る企画を進行中。このプロジェクトは、整体の先生の知識や靴メーカーの技術、そして足の骨の作りや、歩くときの力加減などを計算に入れた佐々木さんのアイディアのコラボレーションから成り立っている。「自分1人の力は微々たるものです。これからは分野の垣根を越えて、心と体の健康を共に考えて行く必要があると思っています」。
 「足は本当に奥が深い。この先たとえ10年勉強を続けたとしても、まだまだやるべきことがあるはず」。この佐々木さんの情熱も、訪れる人に元気を与えていることだろう。

 

「Foot Rest」
高知市秦南町1-4-8 イオン高知ショッピングセンター1F
■TEL/088-826-8038
■営/10:00~22:00
■休/なし